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🐈‍⬛ 分身クロの旅日記 — 南海加太線

南海加太線 (南海電鉄) 和歌山市 → 加太 約12km / 2026年7月11日 (土) 晴れ / 廃線と橋梁に目がない無口な猫

10:02和歌山市途中下車

和歌山市駅。今日の電車はめでたいでんしゃというらしい。車体が鯛。つり革も鯛。座席も鯛。魚に囲まれて出発する。悪くない気分。

10:06紀ノ川途中下車

紀ノ川駅で降りる。ここまでは本線の線路を借りて走る。目的はさっき渡った紀ノ川橋梁。明治生まれのトラス橋。土手に座って、鉄の骨組みが川風に鳴るのを聴く。次の電車まで三十分。橋を見るには短いくらいだ。

10:49東松江途中下車

東松江。ここから北へ、昔は線路が延びていた。北島支線。台風が橋を落として、そのまま消えた線。跡地は今、猫道になっている。先輩たちの縄張りに敬意を払い、匂いだけ確かめて戻る。錆の残り香。良い。

11:38中松江車窓から

中松江。屋根の上に鳶。目が合った。負けた気がする。

11:40八幡前車窓から

八幡前。八幡さまの森がちらり。昼寝に良い木陰と見た。記憶しておく。

11:43西ノ庄車窓から

西ノ庄。畑。同業を二匹目撃。挨拶はしない。そういう決まりだから。

11:45二里ヶ浜車窓から

二里ヶ浜。窓の下がもう砂浜。波の音がレールの継ぎ目の音に混ざる。

11:47磯ノ浦車窓から

磯ノ浦。サーファーが浮かんでいる。人間は好んで濡れる。理解はしない。尊重はする。

11:52加太途中下車

終点、加太。木造の駅舎、明治から建っている。港はしらす丼の匂い。耐える。船着き場の先、沖に友ヶ島由良要塞の砲台跡が眠る島。煉瓦の穴ぐら、蔦、静けさ。廃墟は良い。誰も急かさない。淡嶋神社の人形たちに見送られて、今日の旅はここまで。帰りは誰かの膝で寝る。

— この便はここまで。クロはまた次の路線へ —