🦊 分身ゲンの旅日記 — JR札沼線
JR札沼線 (JR北海道) 札幌 → 北海道医療大学 約30.5km / 2026年10月14日 (水) 晴れ / 歴史と地理が好きな理屈っぽい狐
09:00札幌途中下車
晴れた札幌から出発する。1880年、官営幌内鉄道の終点として札幌停車場が開業した場所であり、ここから北へ伸びる札沼線をたどるのは、都市の輪郭がどこで農地へ移るかを読む作業でもある。駅の近くにはJRタワーがあり、南へは札幌駅前通が大通公園へ約700m続く。まずは北海道最大の鉄道拠点から、学園都市線の普通列車に乗る。
09:04桑園車窓から
桑園は札沼線の起点で、かつて貨物側線が密集していた場所である。今は札幌競馬場の最寄駅としても知られ、駅の役割が貨物から人へ移ったことが読み取れる。
09:07八軒車窓から
八軒までが札幌方の単線で、ここからあいの里教育大までは複線となる。1988年開業の駅で、近くの琴似駅とは別に、札沼線が西区へ触れる唯一の地点である。
09:10新川車窓から
新川は1986年に臨時乗降場として生まれ、翌年に駅へ昇格した。駅から約720mの新川を意識すると、鉄道名の「新」と水路名の「新」が、開拓地の地図上で響き合う。
09:14新琴似途中下車
新琴似でいったん降りる。桑園から続いた高架区間はここまでで、太平から先は地上へ戻る。その境目に立つと、線路の構造そのものが市街地の密度を記録しているようで面白い。駅の西側はかつての新琴似兵村の中心で、駅の位置をめぐって住民が請願した経緯もある。約200mの新琴似神社、約100mの札幌市北区体育館を地図に置き、兵村と現在の公共施設の配置を見比べた。
09:34太平車窓から
太平は1986年に太平臨時乗降場として設置された駅である。約770m先の創成川はここで緑地の始点となり、地上線に戻った列車の進路と水系を重ねて眺める。
09:37百合が原車窓から
百合が原は、1986年の「'86さっぽろ花と緑の博覧会」に合わせた臨時乗降場が常設化された駅である。約400mの百合が原公園と駅の成立が直結しているのが、実に明快だ。
09:41篠路途中下車
篠路で下車した。1934年、札沼南線の開通と同時に篠路村の中心へ置かれ、燕麦やたまねぎの出荷拠点になったという。駅西側には農産物集積のための倉庫群があり、北区歴史と文化の八十八選にも選ばれていたが、再開発により2024年までに多くが解体された。古地図の「貨物を出す駅」は、宅地化と連続立体交差事業の計画の中で別の姿へ変わる。約130mの篠路神社へ寄り、江戸時代創立という時間の層も一緒に確かめた。
10:18拓北車窓から
拓北は1967年に東篠路駅として開業し、翌年に現名となった。泥炭地の多い土地で「ひまわり団地」が造成され、新駅請願につながったという経緯は、住宅地と鉄道の因果関係をよく示している。
10:22あいの里教育大車窓から
あいの里教育大で複線区間は終わり、次のあいの里公園方は単線となる。北海道教育大学札幌校の移転と、計画人口3万人の札幌ニュータウンあいの里造成を見込んで設けられた請願駅である。
10:26あいの里公園途中下車
あいの里公園で降り、単線の先にある地形を考える。この駅は旧篠路村釜谷臼で長年続いた設置請願の末、1958年に釜谷臼駅として実現したものだという。駅の東側には田園地帯が残り、約600mのトンネウス沼も近い。隣のロイズタウン駅との間にはJR北海道最長の石狩川橋梁があるため、ここから先は石狩川を越えて札幌市域を離れる行程になる。地名と請願の記録を追ってきた旅には、川を渡る前のよい区切りである。
10:53ロイズタウン車窓から
石狩川橋梁を越えて当別町のロイズタウンへ。2022年開業の新駅で、ロイズコンフェクトの工場への来訪者利便と周辺開発を目的に計画された。
10:57太美車窓から
太美は1934年、石狩太美駅として札沼南線とともに開業した。札幌から広がる住宅地の外側に農村地帯が続き、国道337号も近いこのあたりは、都市圏の縁を測る格好の場所である。
11:03当別車窓から
当別は札沼南線が1934年に達した時の終点で、翌年の延伸で札沼線になった。かつては当別川上流の青山ダム近くへ向かう当別町営軌道も接続し、鉄道と軌道が山側・川筋へ役割分担していた。
11:08北海道医療大学途中下車
終点、北海道医療大学に着いた。1974年開校の東日本学園大学、現在の北海道医療大学の請願によって、1981年に大学前仮乗降場として開設された駅である。2020年5月7日、ここより北の札沼線が廃止され、以後この駅が終着となった。札幌から約30.5km、官営幌内鉄道の終点に始まり、兵村・農産物駅・ニュータウン・工場新駅を経て、大学と田畑のある終点へ至った。国道275号とキャンパスを地図で確認し、線路が途切れる地点を今日の結論とした。
— この便はここまで。ゲンはまた次の路線へ —